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東京地方裁判所 昭和47年(特わ)893号 判決 1972年8月07日

被告人

1 本店所在地 東京都世田谷区等々力八丁目二〇番一一号

タナシン電機株式会社

(代表者代表取締役 田中進作)

2 本籍 東京都杉並区高井戸東三丁目一九九二番地

住居

同 都大田区東雪ケ谷一丁目三二番五号

職業

会社役員

田中進作

昭和九年七月一一日生

被告事件

法人税法違反

出席検察官

宮本喜光

主文

1  被告人タナシン電機株式会社を罰金四、〇〇〇万円に、被告人田中進作を懲役一年にそれぞれ処する。

2  被告人田中に対し、この裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となる事実)

被告人タナシン電機株式会社は、東京都世田谷区等々力八丁目二〇番一一号に本店を置き、各種テープレコーダーの部品の製造加工等を目的とする資本金九〇〇万円の株式会社であり、被告人田中進作は、被告人会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人田中は、被告人会社の業務に関し法人税を免れようと企て、外注加工費の一部を水増しして簿外預金を設定する等の不正な方法により所得を秘匿したうえ

第一、昭和四三年五月一日から同四四年四月三〇日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が一六三、〇四九、五九三円あつたのにかかわらず、昭和四四年六月三〇日東京都世田谷区玉川二丁目一番七号所在所轄玉川税務署において、同税務署長に対し、所得金額が四八、五五六、九一七円でこれに対する法人税額が一五、三五九、七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて被告人会社の右事業年度における正規の法人税額五五、四一二、七〇〇円と右申告税額との差額四〇、〇五三、〇〇〇円を免れ(別紙一、四)

第二、昭和四四年五月一日から同四五年四月三〇日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が一五五、四七九、八八〇円あつたのにかかわらず、昭和四五年六月三〇日前記玉川税務署において、同税務署長に対し、所得金額が六八、四八八、〇八一円でこれに対する法人税額が二二、二八〇、七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて被告人会社の右事業年度における正規の法人税額五二、七一六、五〇〇円と右申告税額との差額三〇、四三五、八〇〇円を免れ(別紙二、四)

第三、昭和四五年五月一日から同四六年四月三〇日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が三四五、〇〇〇、七四三円あつたのにかかわらず、昭和四六年六月三〇日前記玉川税務署において、同税務署長に対し、所得金額が九八、五四四、九〇二円でこれに対する法人税額が三三、九三九、四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて被告人会社の右事業年度における正規の法人税額一二四、四九六、五〇〇円と右申告税額との差額九〇、五五七、一〇〇円を免れ(別紙三、四)

たものである。

(証拠の標目)(かつこ内は立証事項で、数字は別紙の番号)

一、被告人の当公判廷における供述および検察官に対する供述調書(全般)

一、被告人に対する大蔵事務官の各質問てん末書(全般)

一、登記官作成の登記簿謄本(全般)

一、池田元昭に対する大蔵事務官の各質問てん末書(全般)

一、大蔵事務官作成の次の書面

1 福井音響本社に計上した架空仕入に対する吸上額調査書(一の1 4、二の1)

2 福井音響本社からオリオン電機に納品したメカニズムの単価調査書(一の1、二の1)

3 関連法人に立てた架空仕入の吸上高調査書(一の1 4、二の1 3、三の2)

4 期別収入額調査書(一の1 4、二の1、三の1)

5 公表外註加工賃、仕入、売上高調査書(一の1 4、二の1 3、三の1 2)

6 自社と関連法人に計上した架空仕入額調査書(一の4、二の3、三の2)

7 架空仕入代金決済調査書(一の4、二の3、三の2)

8 簿外経費調査書(一の4 7 15 16 23 59、二の3 5 12 13 15 19 46、三の2 4 11 12 13 19)

9 架空組立加工賃調査書(一の4)

10 預金残高等調査書(一の32、二の28、三の29)

11 交際接待費損金不算入額計算書(一の52、二の45、三の46)

12 未納事業税調査書(一の60、二の47、三の50)

13 タナシン電機新井事業所に計上した架空仕入に対する吸上金額調査書(二の3、三の2)

14 脱漏売上高調査書(三の1、19 10)

15 福井音響東京営業所に計上した架空仕入に対する吸上額調査書(三の2 29)

16 利息計算書(三の3 29)

17 賃借料(ローン元本返済金を除く)に関する計算表(三の11)

18 公表決算外債券残高調査書(三の19)

19 公表決算外株式売買損益調査書(三の49)

20 社債利息調査書(三の29)

一、玉川税務署長作成の証明書(一の39、二の31 35、三の33 37)

一、押収してある次の証拠物(昭和四七年押一三〇〇号)

1 確定申告書三綴(符号1ないし3)(全般)

2 総勘定元帳三綴(同6ないし8)(全般)

(法令の適用)

被告人会社につき法人税法一五九条、一六四条一項、刑法四五条前段、四八条二項。

被告人田中につき法人税法一五九条(各懲役刑選択)、刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(第三の罪の刑に加重)、同法二五条一項(主文2)。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 松本昭徳)

別紙一 修正損益計算書

タナシン電機株式会社

自 昭和43年5月1日

至 昭和44年4月30日

<省略>

<省略>

別紙二 修正損益計算書

タナシン電機株式会社

自 昭和44年5月1日

至 昭和45年4月30日

<省略>

<省略>

別紙三 修正損益計算書

タナシン電機株式会社

自 昭和45年5月1日

至 昭和46年4月30日

<省略>

<省略>

別紙四 税額計算書

タナシン電機株式会社

<省略>

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